利休好みで檜の柾目を使用し鉄釘で締め、一文字の角の手付で2枚の割蓋が伴います。作は名工岩木家2代の裕軒です。出来てから100年近く経過しておりますが、水を張ると檜の良い香りが致します。また淡々斎の御書付がございますので大切なお茶会にも安心してお使いになれます。箱蓋裏に淡々斎が『利休形釣瓶水さし 昭和辛未夏 今日主（花押）』と書き付けておられます。＊昭和辛未…昭和6年(1931)　共箱は箱裏に『指物師裕軒』として印が捺してあります。古い釣瓶水指でよく見られる現象ですが、最初に水を入れた時に少しずつ水が漏れ出しますが、一晩水を張って（もしくは浸ける）あれば木が膨張しピタリと水が漏れなくなります。全体にシミがありますが、檜（天然木）由来のもので汚れではございませんのでご安心ください。

共箱。

上部（蓋有）21.5㎝×21㎝（七寸一分半×七寸）
底部18.8㎝×18㎝
高さ（手付含む）17.5㎝

▢裏千家14世淡々斎宗室
明治26年(1893)～昭和39年(1964)
茶道裏千家14世家元。裏千家13世圓能斎の長男。幼名は政之輔、号に碩叟(せきそう)。30才で家元を継承。流儀統一のため淡交会を結成、海外普及と文化交流のために国際茶道文化協会を設立。紺綬褒章、紫綬褒章、勲三等旭日中授賞を受章。昭和39年(1964)北海道の旅宿で歿す。71歳。

▢2代岩木裕軒（いわきゆうけん）
明治34年(1901)～昭和18年(1943)
指物師。初代裕軒の長男。初代岩木裕軒(1875～1926)は晩年「裕軒」の号を2代へ授ける。昭和天皇御大典什器を謹作。43歳歿。

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